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    なんとなく日常が戻ってきた11月

    瀬戸内寂聴さんがお亡くなりになりました。この知らせを聞いたのが、彼女を描いた小説を読んでいる最中だったことが、とても意味があるような気がしています。


    瀬戸内寂聴と言う女性を知るために読むべきストーリー 井上荒野著【あちらにいる鬼

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    今月の1冊。それが、【あちらにいる鬼】です。

    小説家の父、美しい母、そして瀬戸内寂聴をモデルに、“書くこと”と情愛によって貫かれた三人の“特別な関係”を長女である著者が描き切る、正真正銘の問題作。作家生活30周年記念作品。

    あちらにいる鬼 (朝日文庫) [ 井上荒野 ]

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    感想(2件)


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    父の不倫相手と母の想いを描く衝撃の作品

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    これは、著者の父・井上光晴の不倫相手であった瀬戸内寂聴さんと、自分の母との、現在の常識ではなかなか理解しがたい特別な関係に、光をあてた衝撃的な作品です。


    人気作家の長内みはるは、講演旅行をきっかけに戦後派を代表する作家・白木篤郎と男女の関係になる。 一方、白木の妻である笙子は、夫の手あたり次第とも言える女性との淫行を黙認、夫婦として平穏な生活を保っていた。 だが、みはるにとって白木は肉体の関係だけに終わらず、〈書くこと〉による繋がりを深めることで、かけがえのない存在となっていく。 二人のあいだを行き来する白木だが、度を越した女性との交わりは止まることがない。 白木=鬼を通じて響き合う二人は、どこにたどりつくのか――。

    作家・白木篤郎は著者の父であり、作家である井上光晴氏が、そして人気作家の長内みはるは、瀬戸内寂聴さんが、モデルとなっていて、ふたりの関係については多くの真実が盛り込まれているそうですが、著者の母の想いなどは、ほぼ想像らしい。限りなく真実に近いフィクション。

    物語は、長内みはると白木の妻 笙子、それぞれの目線で語られていく。作品を読む前は、鬼、と言うのが不倫相手である瀬戸内寂聴さんを表すのだと想像していましたが、実際は、鬼=白木篤郎。

    そうこれは、この鬼を巡るふたりの女性の物語なのです。

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    瀬戸内寂聴さんの出家時の心理に触れる

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    これまでに私が瀬戸内寂聴さんの作品に触れたのは、『夏の終わり』のみ。あとはテレビなどのメディアで拝見するお姿とお言葉だけで、その人となりをイメージしてきました。

    『夏の終わり』で夫とこどもを捨て、恋を選ぶほどの情熱的な女性が、その後何故に出家という道を選んだのか。その真相が、この作品で判明しました。

    そもそも出家だって井上さんとの長い関係を終わらせようと思ってしたんですよ
    瀬戸内寂聴さん自身が、インタビューの中でこう話しています。

    長内みはるは、白木篤郎の自分への気持ちが離れつつあり、結局は家族を取ると感じ取ったその時、出家という方法で決着をつけようとする。愛情が深すぎてただの別離では想いを断ち切れないから、世俗との決別によって、無理にでも断ち切ろうとしたわけですよね。

    瀬戸内寂聴さんは、やはり猛烈な愛に生きた方だった。ここまで自分の気持ちに正直に生きる女性だったからこそ、他者にも愛され、また愛を分け与える、そんな生涯を送ったのだと、わかりました。

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    井上荒野さんだからこそ描けた特別な世界

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    父親の不倫と母の想いを、実の娘が綴っていく。一体どんな気持ちだろう。父や相手をを憎んだり、母を憐れんだり、自分の中に様々な葛藤があったり、複雑な心境だったのではないかと想像出来ます。

    「私が書かないといけない、お元気なうちに読んでいただきたい」という気持ちに変わりました。
    井上荒野さんのこの言葉が印象的でした。実際に瀬戸内寂聴さんと交流を持ち、父親のことを本気で愛していたのだとわかったからこそ、筆をとる気持ちになった。この決断も素晴らしいし、井上荒野さんの世界観を崩さずにこの作品が成り立っていることに脱帽です。

    これまでにもいくつかの井上荒野作品を読んできましたが、11月中にもう一冊、『そこへ行くな』という短編集を読みました。やはり、一貫した世界観がある。男女のとても深い部分にある心理を巧みに描いているのだけど、良い意味で力が入っていない。非常に激情的な出来事でも、なんとなく登場人物が気だるい。

    その脱力加減が絶妙なのです。『あちらにいる鬼』も、別の作家が書いていたら、もっと情熱的で凄まじい愛憎劇になってしまったかもしれない。この作品を読んで、登場人物の誰一人として、憎むべき存在になっていないのは、井上荒野さんだからこそ描けた世界だと思います。

    モデルに書かれた私が読み 傑作だと、感動した名作! ! 作者の父井上光晴と、私の不倫が始まった時、作者は五歳だった。 五歳の娘が将来小説家になることを信じて疑わなかった亡き父の魂は、 この小説の誕生を誰よりも深い喜びを持って迎えたことだろう。 作者の母も父に劣らない文学的才能の持主だった。 作者の未来は、いっそうの輝きにみちている。百も千もおめでとう。 ――瀬戸内寂聴

    このお言葉が、すべてを物語っていますね。

    そこへ行くな (集英社文庫) [ 井上荒野 ]

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    感想(1件)


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    今月読んだ本

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    • 死にがいを求めて生きているの /朝井 リョウ
    • 啼かない鳥は空に溺れる /唯川 恵

    • 夏を取り戻す /岡崎 琢磨

    • 雪冤 /大門 剛明

    • サイレンス /秋吉 理香子

    • あちらにいる鬼 /井上 荒野

    • Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス /石持 浅海

    • 確信犯 /大門 剛明

    • そこへ行くな /井上 荒野


    • 計9冊


    おわりに 今月のオーディオブックから一言


    ▶▶現代語訳 論語と算盤 著者渋沢栄一,守屋淳/訳

    1番読みやすい現代語訳で60万部突破。全ての日本人必読の最強の古典がオーディオブックで登場。

    指針なき現代においてわたしたちは「どう働き」「どう生きる」べきか

    「論語」とは道徳、「算盤」とは利益を追求する経済活動のことを指す。『論語と算盤』は渋沢栄一の「利潤と道徳を調和させる」という経営哲学のエッセンスが詰まった一冊です。

    明治期に資本主義の本質を見抜き、約480社もの会社設立・運営に関わった彼の言葉は、ビジネスに限らず、未来を生きる知恵に満ちている。現代を生きる私たちこそ、立ち返るべき原点がここにあるのです。

    SHOKO

    もう一度すべての人の幸せを考えよう


    これまで全く興味のなかった私が、NHK大河ドラマ「青天を衝け」をきっかけに、渋沢栄一という人物と、彼が生きた時代に惹き付けられ、学びたいと思うようになりました。吉沢亮見たさにスタートしたはずなのに、いつの間にか様々なことを考えるようになっている。

    個人や特定の会社が富と幸福を得るのではなく、日本の国全体が、そして誰もが健全な経済力を得て、万人が幸せを感じられる国家こそが、真の先進国。

    少し難解な部分も聴き逃していると自然と耳に残るから、オーディオブックって素敵。


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