井上荒野著【あちらにいる鬼】をじっくりと読みながら瀬戸内寂聴さんを偲ぶ (2021年11月読書レポート)
■目次
▶瀬戸内寂聴と言う女性を知るために読むべきストーリー 井上荒野著【あちらにいる鬼】・父の不倫相手と母の想いを描く衝撃の作品
・瀬戸内寂聴さんの出家時の心理に触れる
・井上荒野さんだからこそ描けた特別な世界
▶今月読んだ本
▶おわりに 今月のオーディオブックから一言
小説家の父、美しい母、そして瀬戸内寂聴をモデルに、“書くこと”と情愛によって貫かれた三人の“特別な関係”を長女である著者が描き切る、正真正銘の問題作。作家生活30周年記念作品。
![]() | 価格:825円 |

父の不倫相手と母の想いを描く衝撃の作品
人気作家の長内みはるは、講演旅行をきっかけに戦後派を代表する作家・白木篤郎と男女の関係になる。
一方、白木の妻である笙子は、夫の手あたり次第とも言える女性との淫行を黙認、夫婦として平穏な生活を保っていた。
だが、みはるにとって白木は肉体の関係だけに終わらず、〈書くこと〉による繋がりを深めることで、かけがえのない存在となっていく。
二人のあいだを行き来する白木だが、度を越した女性との交わりは止まることがない。
白木=鬼を通じて響き合う二人は、どこにたどりつくのか――。
瀬戸内寂聴さんの出家時の心理に触れる
そもそも出家だって井上さんとの長い関係を終わらせようと思ってしたんですよ
瀬戸内寂聴さん自身が、インタビューの中でこう話しています。
井上荒野さんだからこそ描けた特別な世界
「私が書かないといけない、お元気なうちに読んでいただきたい」という気持ちに変わりました。
井上荒野さんのこの言葉が印象的でした。実際に瀬戸内寂聴さんと交流を持ち、父親のことを本気で愛していたのだとわかったからこそ、筆をとる気持ちになった。この決断も素晴らしいし、井上荒野さんの世界観を崩さずにこの作品が成り立っていることに脱帽です。
モデルに書かれた私が読み 傑作だと、感動した名作! !
作者の父井上光晴と、私の不倫が始まった時、作者は五歳だった。
五歳の娘が将来小説家になることを信じて疑わなかった亡き父の魂は、
この小説の誕生を誰よりも深い喜びを持って迎えたことだろう。
作者の母も父に劣らない文学的才能の持主だった。
作者の未来は、いっそうの輝きにみちている。百も千もおめでとう。
――瀬戸内寂聴
![]() | 価格:682円 |

今月読んだ本
- 死にがいを求めて生きているの /朝井 リョウ
- 啼かない鳥は空に溺れる /唯川 恵
- 夏を取り戻す /岡崎 琢磨
- 雪冤 /大門 剛明
- サイレンス /秋吉 理香子
- あちらにいる鬼 /井上 荒野
- Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス /石持 浅海
- 確信犯 /大門 剛明
- そこへ行くな /井上 荒野
おわりに 今月のオーディオブックから一言

指針なき現代においてわたしたちは「どう働き」「どう生きる」べきか

もう一度すべての人の幸せを考えよう
スポンサーサイト