先の見えない暗闇が明けてきた10月
嬉しい反面、このままの日常がいつまで続くだろうと言う不安が生まれて結局心が落ち着かない。今月も自分の
読書ライフから、好き勝手に語らせてもらいます。
全てを失くした夜にも必ず明ける朝が来る
中山七里著【夜がどれほど暗くても】
今月の1冊は、大好きな作家のひとりである
中山七里さんの【夜がどれほど暗くても】です。彼の作品は、読者にページを捲る手を止めさせない。久しぶりに数時間の一気読みでした。
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どんでん返しの帝王、と異名を持つ
中山七里さんですが、この作品はどんでん返しのミステリーと言うよりは、現代社会が抱える問題を提起しつつも、混沌とした闇のなかで手探り状態で生きる誰しもが、希望を見出だしてホッとできる作品になっています。
人間の不幸に底はないのか?水に落ちた犬は叩かれ続けるのか?息子の殺人疑惑で崩れ去った幸せ―。スキャンダルとネットの噂に奪われた家族。だが男は諦めなかった―。
主人公の志賀倫成は、大手出版社の人気雑誌『週刊春潮』の副編集長。スキャンダル記事がメインの週刊誌であるがゆえの葛藤はありながらも、充実した編集者生活を送っている。しかし大学生の息子が、ストーカー殺人を犯した上に自殺するという衝撃的事件を皮切りに志賀の生活は一変。スキャンダルを追う立場から追われる立場に転落する。
取材対象のみならず同僚からも罵倒される毎日。ついには憔悴しきった妻に手をあげ、家を出られてしまう。ドン底に突き落とされた志賀は、一人生き残った被害者遺族である奈々美と触れ合う中から少しずつ心を通わせ、新たな光を見出だしていく。
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加害者の親の苦悩、と言う題材ではこれまでにも数多くの作品があったけれど、この作品では、加害者の親のみならず、被害者の娘に対してのイジメまで発生するところに恐ろしさがある。
事件とは無関係の人々が、自らの正義を振りかざして、断罪を試みる。大人も子供も関係なく、ごく些細な亀裂をえぐって、広げようとする。
スキャンダルばかりを追う週刊誌と言う
マスコミも同じ。狙いを定めた人物の人生を潰すことまでが目的であるかのよう。そしてそれを喜ぶ大衆。こうした構図は、はるか昔から、日本のみならず海外でも変わらない。たぶん、これから先もずっと変わらない。
けれど、志賀は諦めないし、類い稀な強さを持っている。だから行動する。正義を振りかざしてくる大衆にも
マスコミにも屈しない。そして自らの力で光を見出だす強いココロとカラダを持つ。
ここが本作の希望を感じられるポイントだけど、この社会の恐怖の渦から逃れるためには、これほどまでに強靭な精神力が必要なのかと思うと、それはそれでなんだか気が滅入りませんか。
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映像化されることが多い中山作品ですが、この作品も
ドラマ化されていました。2020年11月
WOWOWの連続
ドラマで、
上川隆也さん主演。
主人公の志賀倫成にぴったりなキャスティング。仕事が出来る男っぷり、ドン底に突き落とされる憔悴感、それでも諦めない情熱、そして人情深さ。志賀のあらゆる側面を表現するのに、見事にハマる。
さらに2021年5月にはDVD-boxも発売。
ドラマを見逃した私も、DVDで観てみようと思います。
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今月読んだ本
きみはだれかのどうでもいい人 /伊藤 朱里
失踪者 /下村 敦史
珈琲店タレーランの事件簿 6 コーヒーカップいっぱいの愛 /岡崎 琢磨
カラマーゾフの妹 /高野 史緒
ABC殺人事件 /アガサ・クリスティー
きことわ /朝吹 真理子
説きふせられて /ジェーン・オースティン
デルタの羊 /塩田 武士
計9冊
おわりに 今月のオーディオブックから一言
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なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか 著者村山太一
WEBでバズって続々重版。コロナでも黒字を達成し、「飲食業界の奇跡」とまで言われた星付きイタリアンのオーナーシェフ、初のビジネス書。
成長したければ、MBAを取るよりアルバイトをしよう。
伝説の三ツ星レストランで副料理長にまで上りつめた著者が次に求めたのは、サイゼリヤの「すごい生産性」だった。経営するレストランの生産性は、なんと3.7倍に!
26万PVのnote記事『目黒の星付きイタリアンのオーナーシェフは、サイゼリヤでバイトしながら2億年先の地球を思う。』で話題騒然!「落とし穴に落ちない」で「最短で成長する」という、偏差値37の"バカ"が見つけた必勝法を初公開。
サイゼリヤ代表取締役会長正垣泰彦氏、推薦「これはビジネスの真理だ! 」
SHOKO
もうコロナ前と同じ、はどの業界にもあり得ない。求められるスキルや能力は、確実に変わっている。それが何なのか、見極めれる人こそが、これからの時代の成功者となるのだと教えてくれている気がする。
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