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    再び緊急事態宣言禍の読書

    今回は図書館が閉館していないので、いつもの読書ライフは変わらず続けられています。


    森博嗣 Wシリーズを読破して思うこと

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    今月ついに森博嗣さんのWシリーズを読破しました。今のこのウイルス禍において、人間の未来について考える非常にタイムリーなきっかけを与えてくれた気がしています。

    森博嗣氏と言えば、工学博士で1996年『すべてがFになる』(講談社文庫)で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。この『すべてがFになる』以降ずっとどこかですべてのシリーズは繋がっている。その鍵は、マガタ・シキというひとりの天才科学者。

    • 彼女は一人で歩くのか?
    • 魔法の色を知っているか?
    • 風は青海を渡るのか?
    • デボラ、眠っているのか?
    • 私たちは生きているのか?
    • 青白く輝く月を見たか?
    • ペガサスの解は虚栄か?
    • 血か、死か、無か?
    • 天空の矢はどこへ?
    • 人間のように泣いたのか?
    全部で10作のWシリーズ。舞台は、自律型ロボットであるウォーカロン (walk-alone) が社会の中人間と共に活動している未来の世界。人間は、臓器や器官を人造のものに取り換えほとんど死なない世界になった一方で、子供を生めなくなる。

    人間、ウォーカロン、人工知能。これからの地球を生きていけるのは、何か。概要だけを耳にすると遠い未来のSF小説のように感じるけれど、ひと度作品の世界に触れると、これは私たちの生きる世界に、間もなくやってくる現実問題なのだと実感するのです。

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    私たちは生きているのか?

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    シリーズ5作目『私たちは生きているのか?』は先月に読んだものですが、10作品の中で1番グッと心に刻まれた1冊。

    富の谷。「行ったが最後、誰も戻ってこない」と言われ、警察も立ち入らない閉ざされた場所。そこにフランスの博覧会から脱走したウォーカロンたちが潜んでいるという情報を得たハギリは、ウグイ、アネバネと共にアフリカ南端にあるその地を訪問した。富の谷にある巨大な岩を穿って造られた地下都市で、ハギリらは新しい生のあり方を体験する。知性が提示する実存の物語。

    生きているということはそもそも何なのか、人間が生きているということには定義があるのか。そんなことを考えさせられる。

    新しい生のあり方、所謂ボディは必要としない、生。

    未来の姿かと想像すると恐ろしい気もするし、なんだか受け入れられる気もする。ウォーカロンや人工知能の存在によって、人間としてのボディが動いていること、は本当に必要なことなのか。近いうちに、本気で考えなくてはいけないことかもしれません。

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    天空の矢はどこへ?

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    ついに地球を飛び出しました。スケールは大きくなるけれど、登場人物たちの距離がかなり縮まる、シリーズ9作目『天空の矢はどこへ?』

    カイロ発ホノルル行き。エア・アフリカンの旅客機が、乗員乗客200名を乗せたまま消息を絶った。乗客には、日本唯一のウォーカロン・メーカ、イシカワの社長ほか関係者が多数含まれていた。時を同じくして、九州のアソにあるイシカワの開発施設が、武力集団に占拠された。膠着した事態を打開するため、情報局はウグイ、ハギリらを派遣する。知性が追懐する忘却と回帰の物語。

    人工知能とウォーカロンと人間が、互いの存続を守るために闘い、それが宇宙にまで到達する。とんでもない展開のように見えて、実は1番人間的ドラマが描かれている気もする。人間という存在の意味がわからなくなりつつあったけれど、この9作目で、やはり人間の持つ人間らしい感情、は必要なのではないかと思えました。

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    人間のように泣いたのか?

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    ついにWシリーズ最終作、『人間のように泣いたのか?』

    生殖に関する新しい医療技術。キョートで行われる国際会議の席上、ウォーカロン・メーカの連合組織WHITEは、人口増加に資する研究成果を発表しようとしていた。実用化されれば、多くの利権がWHITEにもたらされる。実行委員であるハギリは、発表を阻止するために武力介入が行われるという情報を得るのだが。すべての生命への慈愛に満ちた予言。知性が導く受容の物語。

    Wシリーズを通して描かれていたことは、10作目に集約されていると思う。どれか1冊だけを読むのなら間違いなくこの作品。人間が再び子孫を作れるようになるのか、そのとてつもなく大きなミッションが、あらゆる闘争の根幹。

    人間の存在する意味。やっぱりそれは、愛なのですよね。きっと大昔から変わらない。ロボットや人工知能にはない、自分以外の何かを愛する気持ち。大丈夫、人間がこれからも存続する意味はある。

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    愛は地球を救う

    有名なキャッチコピーだけど、結局Wシリーズのテーマはこれじゃないでしょうか。

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    今月読んだ本

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    • 壁の男 /貫井 徳郎
    • 青空と逃げる /辻村 深月

    • 天空の矢はどこへ? /森 博嗣

    • 葬儀を終えて /アガサ クリスティー

    • 人間のように泣いたのか? /森 博嗣

    • 追憶のかけら /貫井 徳郎

    • 女王の百年密室 /森 博嗣

    • 監禁面接 /ピエール・ルメートル

    8冊


    おわりに 今月のオーディオブックから一言


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    話すことにはコツがある


    それを知っているかどうかで、トークのレベルは相当変わる。仕事以外でも使えるコツが網羅されています。

    実際に人と会わずに進んでいくことがこれからも増えていきそうだから、トークの力はますます必要になってくる。自分の思いを言葉にするコツをつかみましょう。


    ブロトピ:こんな記事書きました!


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