秋の気配を感じ始めた9月
読書ライフは、なかなか充実したものに。濃密な作品に出会えた、SEPTEMBER。
死と孤独と人の本能について思いを馳せる3つのストーリー
今月読んだ作品の中で、強く心に残った3作品。人間の、死と孤独と本能。様々な考え方のある難しいテーマですが、あくまでも私の主観で綴らせてください。
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小池真理子さんにここのところ、どっぷりハマっている。その中でもこの死の島は、最も共感出来た名作ではないかと思う。
澤登志夫、69歳。文芸編集者としてエネルギーに満ちた時代を送った。激しい恋愛の果てに妻子と別れ、痛恨の思いも皮肉に笑い飛ばして生きてきた―彼を崇拝する26歳の宮島樹里の存在が、澤の過去と現在を映し出す。プライド高く生きてきた男が余命を知って辿り着いた、荘厳な企み。この尊厳死は罪か―現代をゆさぶる傑作長編。
自分の余命を知った人間は、どう行動することが正解なのか。
- 1分1秒でも長く生きるために闘う
- 最期の日まで好きなことを思う存分する
- 出来るだけ長く普通の日常を送る
- 自分と関わる人と思い出を作る
選択肢はいくつもある。家族がいる、こどもが小さい、経営者である、などなど環境によってもその選択肢はそれぞれ違う。だけど、この主人公のように孤独な身上であった場合、どうすべきなのか。
主人公は、自分が亡骸になった後の処理を全て準備した状態で、迷惑をかける人数を最小限に抑え、その人物には十分な金銭を残し、痛みや苦しみを伴わない方法で自ら命を断つことを選択する。
孤独死、が社会問題にもなっている昨今。けれども、実は死を孤独に迎えるということは、長い時間誰かを煩わせ、苦しめる必要がない、ということなのだと気づかされてしまった。
家族や親しかった人たちがその死を知って、ひとときは悲しみにくれるかもしれないけれど、長期間に渡る介護やその日がくる恐怖に苦しむ必要がない。死は孤独であるべきなのではないか。
私自身が胸の内でずっと思っていたにもかかわらず、口には出せなかったことを
小池真理子さんは表現してくれたような気がする。
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東京ロンダリングに代表されるように、社会問題をミステリアスに描く
原田ひ香さん。介護、年金、生活保護。現代社会の様々な問題を抱えて負のスパイラルに陥っていく様がとてつもなく恐ろしい作品です。
北沢藍は職場の上司と不倫して、二人の子供を置いて家を出た。十年ぶりに実家に戻ると、男にだらしない母と、お金にがめつい祖母がうら寂しく暮らしていた。隣に住む幼馴染の馬場美代子は家族を見送り、今は祖父をひとりで看ている。介護に尽くす彼女は、孝行娘とあがめられているが、介護が終わったその先はどうやって生きていくのだろうか。実は、彼女の暮らす家には、世間を震撼させるおぞましい秘密が隠されていた。注目の作家初のクライムノベル。
主人公の藍は、最初はちょっと不幸が重なったけれどなんとか這い上がれそうな女性、だったのに、隣に住む幼なじみの女性と関わりあいになることで、ズルズルと堕ちていく。
こんな風に1度社会からはみ出してしまうと、その負のスパイラルからはなかなか抜け出せないのが今の日本なのだなと痛感する。
原田ひ香さんの描く世界は、非常に不気味で恐ろしいのだけど、どこかにある救いポイントを教えてくれているような気がする。
この負のスパイラルは誰にでも起こりうる怖さがある。でも、浮上出来るポイントはちゃんとあるんだ。
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小池真理子さんから、もうひとつ。この作品のキーワード『文学的・哲学的尾行』に惹かれるのは私だけでしょうか。
大学院生の白石珠は、ある日ふと、近所に住む既婚男性、石坂史郎を尾行してしまう。大学の講義で知ったアーティスト、ソフィ・カルによる「文学的・哲学的尾行」が心に残っていたからだ。そして珠は、石坂の不倫現場を目撃する。他人の秘密を知ることに、ぞくぞくとした興奮を覚えた珠は、石坂の観察を繰り返す。だが徐々に、秘密は珠と恋人との関係にも影響を及ぼしてゆく―。大学教授への想い、今は亡き恋人への追慕。スリリングな展開、乱れ合う感情。ページを繰る手が止まらない、傑作長編。
尾行。それは、何でもないその人物の1日が記録され文字としてこの世に残ると言うこと。そんな風に尾行、というものを捉えることなかった。自分と関わりのない誰かの秘密を知ることで、徐々に変わっていく自分とまた別の誰かとの関わり。
文学的・哲学的尾行、と言うなんだか美しくまとめられたこの尾行は、実は自分を解放するための手段なのかもしれない。なんだか自分もソワソワするのです。文学的・哲学的尾行。自分も実践したい欲望があるのかもしれない。
この作品は
映画化されています。こちらも面白そう。
門脇麦, 長谷川博己,
菅田将暉, リリーフランキーって、ちょっとスゴいメンバーです。
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今月読んだ本
死の島 /小池 真理子
幸福な食卓 /瀬尾 まいこ
凶犬の眼 /柚月裕子
パラドックス13 /東野 圭吾
慈雨 /柚月 裕子
わたし、定時で帰ります。/朱野帰子
わたし、定時で帰ります。ハイパー/朱野帰子
トーキョー・プリズン /柳 広司
合理的にあり得ない /柚月裕子
11冊
おわりに
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1日1ほめで幸運を引き寄せる 自分をほめる習慣
『あなたは最近ほめられたことがありますか?』
と言う印象的なセンテンスで始まるこの本。
オーディオブックの試し聴きが5分くらいできるので、あれ?と思った方は聴いてみてください。9割の人は、ほめ、が足りないんだって。
悲しいニュースが心の元気を奪っていくから、自分で自分を1日1回、ほめてあげよう。
SHOKO
ストイックであり続けた自分をほめてあげました。
うん、なんだかちょっと自信出る。良かったら試してみてください。
ブロトピ:こんな記事書きました!
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