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    読書ライフは平常運行を取り戻した7月

    世の中の全てが元に戻ったわけではないけれど、ひとまず私が1日の中で1番大切な時間が元に戻ったのは嬉しい限りです。

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    今月読んだ本  

    • いるいないみらい /窪 美澄
    • 愛を知らない /一木けい

    • うまくいっている人は朝食前にいったい何をしているのか /ローラ・ヴァンダーカム

    • ノッキンオン・ロックドドア2 /青崎有吾

    • また、同じ夢を見ていた /住野 よる

    • 国宝 (上) 青春篇 /吉田修一

    • 国宝 (下) 花道篇 /吉田修一

    • 新聞記者 /望月衣塑子

    • 恋 /小池真理子

    • ココナッツオイルが効く! /オーガスト・ハーゲスハイマー

    • ふたりぐらし /桜木紫乃

    • 象は忘れない /柳広司

    12冊


    今月の1冊 一木けい【愛を知らない】

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    先月【1ミリの後悔もない、はずがない】を読んでかなり心に刺さった一木けいさん。こちらも話題の作品です。


    高校二年生の橙子はある日クラスメイトのヤマオからの推薦で、合唱コンクールのソロパートを任されることに。当初は反発したものの、練習を進めるにつれ周囲とも次第に打ち解けていく。友人たちは、橙子が時折口走る不思議な言い訳や理解のできない行動に首をかしげていたが、ある事件をきっかけに橙子の抱えていた秘密を知ることになり―。若く力強い魂を描き出した、胸がひりひりするような傑作青春小説。

    この作品で一木さんは、『支配』をテーマに書いている。親、友人、夫婦、どこにでも支配関係は存在して、どうしてか人間関係はその支配関係があることで一見上手くいっているように見える。だけど、それって結局誰も幸せにならない。

    『普通』という言葉に引っかかる人に読んでもらいたい

    一木さんがそう話しているように、普通に生きることこそが幸せなのだという感覚こそが、多くの人を生きづらくさせている。間違いなく、作品の最後に支配から逃げ出していく少女の姿は、勇気を与えてくれると思う。


    ▶▶【中古】【古本】 愛を知らない ポプラ社 一木けい/著

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    平成最後の文芸大作 吉田修一作家生活20周年記念作品【国宝

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    先月ものめり込んだ吉田修一ワールドについて綴りましたが、今月も吉田修一作品です。ちなみに先月は、スパイ小説『太陽は動かない』でした。

    そして今回是非おすすめしたいのが、吉田修一作家生活20周年記念作品『国宝』です。あの傑作『悪人』から10年、またもや歴史に残る大作が生まれました。

    上巻 青春編

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    極道と梨園という、2つの別世界に生まれた二人の若者が、芸の道に青春も人生も全て捧げていく上巻、青春編。


    1964年元旦、長崎は老舗料亭「花丸」―侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、この国の宝となる役者は生まれた。男の名は、立花喜久雄。任侠の一門に生まれながらも、この世ならざる美貌は人々を巻き込み、喜久雄の人生を思わぬ域にまで連れ出していく。舞台は長崎から大阪、そしてオリンピック後の東京へ。日本の成長と歩を合わせるように、技をみがき、道を究めようともがく男たち。血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、幾重もの信頼と裏切り。舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、数多の歓喜と絶望を享受しながら、その頂点に登りつめた先に、何が見えるのか?朝日新聞連載時から大きな反響を呼んだ、著者渾身の大作。

    特別にモデルが存在するわけではないらしいのに、まるで実在する歌舞伎役者の誰かの伝記のような、リアリティ。ありあまる才能や苦悩、葛藤、嫉妬。細かく描かれ過ぎていないところも、読者がイメージしやすいポイントなのかもしれない。歌舞伎に興味が全くなかった私が、あっという間に引き込まれました。


    ▶▶【中古】 国宝(上) 青春篇 /吉田修一(著者)

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    下巻 花道編

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    青春を駆け抜けた男たちは、どんな花道を迎えるのか。さらに熱量を増していく、下巻花道編。

    鳴りやまぬ拍手と眩しいほどの光、人生の境地がここにある。芝居だけに生きてきた男たち。その命を賭してなお、見果てぬ夢を追い求めていく。今年最高の感動を届ける役者一門の大河小説。

    梨園という特殊な世界の特別な人たちの物語ではあるけれど、どんなに倒されても、足を引っ張られても、決して腐らず、這い上がろうとする主人公の強さは、胸を打つ。その花道が最終的にどうであったかよりも、その生き様そのものが、財産。そんな風に思えます。


    ▶▶【中古】 国宝(下) 花道篇 /吉田修一(著者)

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    作家 吉田修一新たな魅力

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    上下巻共に圧倒的な熱量で歌舞伎の世界と登場人物たちの生き様が描かれていくのですが、全体を通してそれが誰の視点で語られるのかはとても重要。

    これまで読んできた吉田修一作品はだいたいが、普通に三人称で特に気に留めることもなかったけれど、今回のこの作品は語り手がまるで講談師のよう。「~でございます」と、神田伯山が語っているような口調が実に心地良いのです。

    スパイ小説、犯罪小説、SF小説、吉田修一という人はなんて引き出しが多いのだろう。しかもどれも読者を完全に引き込むだけの、パワーがある。

    SHOKO

    平成最後の最高傑作


    まさにその通り。これは歴史に残る作品です。まだまだお若いのに、すでに円熟の域に達している感のある吉田修一作品。今後も楽しみです。

    そして、この作品のイメージにもぴったり過ぎる、尾上菊之助さんが、朗読している動画があります。この声、顔、肌、そして滲み出るオーラ。まさに、私の中で喜久雄はこの方そのもの。ぜひ、この動画ご覧になってみてください。



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    おわりに

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    最後に、とてもタイトルが興味深かったので、手に取ったこちらの本。早起きは三文の徳。その言葉通り、成功者の多くは早起きでしかも朝食をとる前に、活動しています。朝食前の時間こそ、自分だけの時間。そこをいかに有効に使えるかで、人生がかなり変わる。

    私が1日のうちで1番好きな時間も、朝食前の2時間です。おかげで夜はすぐ眠くなってしまうのですけど。


    ▶▶【中古】 うまくいっている人は朝食前にいったい何をしているのか /ローラ・ヴァンダーカム(著者),桜田直美(訳者)

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