女の適量を知る貴重な読書体験【2020年5月読書レポート】
緊急事態宣言が延長した5月。相変わらず図書館は閉まったままです。
だけどその分、全て自分で購入した作品なので、今読みたいと強く思う作品ばかりで夢中になりました。内容の濃いものばかりです。
・今月の1冊 凪良 ゆう【流浪の月】
▶首都圏連続不審死をステップにした女性の成長物語【BUTTER】
・題材はあの有名な事件
・スカーレットとメラニー的友情
・バターの適量
▶おわりに
今年度の本屋大賞を受賞したのがこの作品です。これまで主にBL作品を描いていたと言う、凪良ゆうさんのことを実は今回初めて知りました。本屋大賞と言えば毎年書店の店員さんたちが本気で薦めたい本、で話題となりこれまでにも多くの作品が映像化されてきました。
もしかしたら嫌悪感を抱く人もいるかもしれない。小さな娘さんを持つお母さんとか、理解しがたいかもしれない。だけど、主人公の少女時代を救ったのは確実に彼だった。そして、そこにあるのはピュアな愛、だけだった。そう思うと全てに納得がいく。
SHOKO
今回のこの作品にある愛は、歪んでいると評されるのかもしれないけれど。私は世間から認められない愛こそ、ピュアなのだと思っている。この考えもまた、なかなか世のかのは認められないのだけど。
そして大抵そういった形のものは、嫌悪感や不気味さを伴って描かれるのだけど、今作にはそれがないところが素晴らしい。まさに本屋大賞に相応しい作品でした。
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首都圏連続不審死事件。と聞くとあの女性の顔を思い出される方も多いのではないでしょうか。
2010年に逮捕され現在死刑囚として東京拘置所に収監されている木嶋佳苗の起こした一連の事件です。あまりに衝撃的で、逮捕当初から裁判中、そして結審後も連日報道されていました。
もちろんこの作品において、明確にこの事件との関係が綴られているのではありませんが、木嶋佳苗を彷彿させる連続不審死の犯人として登場する女性が、死刑囚として収監されていても尚、主人公を含めた周囲を翻弄していく様は、まさに木嶋そのものです。
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この作品のすごいところは、最初は完全に木嶋佳苗をイメージしたカジマナ中心の展開でグッと読者を惹き付け、主人公の里佳との関係性がどんどん変化していく様にヤキモキさせ、やがて親友の伶子の影響が深く関わることで、全く予想できない方向へ連れていってしまうこと。
柚木麻子さん本人も語っているように里佳と伶子の関係は、『風と共に去りぬ』のスカーレットとメラニーを思わせる。意のままに行動する強い女に見える里佳と、少女のように心許ないのに実は何でも出来る伶子。唯一カジマナに立ち向かい、その呪縛を切り裂き終わらせたのは、伶子の方だった。メラニーのスカーレットへの深い愛情が、スカーレットを新たな境地へ立たせるのと似ています。
伶子の愛犬の名前も、まさにメラニーだったしね。
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タイトルにもなっているバターは、この作品の中でとても重要な役割を担っている。カジマナがこよなく愛するバター。最初は里佳にとって全くのゼロだったバターの量が、じゅわじゅわと増えていくのと同時に、里佳自身がカジマナに侵食されていく。まるでバターがカジマナの毒みたいに。
だけど最後には、里佳はその適量を知る。料理も仕事も人間関係も友情も、それぞれに合った適量があって、それを自ら見つけて、そしてお互いがそれぞれの適量を認めあう。それがわかっていたら、カジマナの事件だって起きなかったかもしれない。
みんなそれぞれ、適量は違うのだけれど、きっと誰しもが自分にとってのバターの適量を知ることが大切なんだ。
バターと言えば、作中に登場するカジマナが大好きなエシレ。今やちょっと良いスーパーでも購入出来るようになったけど、その高級さは群を抜いていますね。でもやっぱり他にはないくらいの味わい。私もカジマナみたいに、エシレでバター醤油ご飯したい。
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エシレほどではないけれど、日本のものならよつ葉も美味しい。
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【人生に行き詰まった僕は、喫茶店で答えを見つけた】の著者赤澤智さんは、実は近所の人気喫茶店の店主さんです。
サイフォンコーヒーで有名な珈琲文明さん。地元でも愛されていて、土日は常に満席という人気店なのですが、その店主赤澤さんが実際に経験した人物たちとの出会いをほぼノンフィクションで描きながら、カフェ経営が成功するためのメソッドを紐解く。そんな本になっています。
40代からでも人は新たな人生を始められる。勇気をもらいました。
▶▶人生に行き詰まった僕は、喫茶店で答えを見つけた (単行本)
ブロトピ:こんな記事書きました!
■目次
▶今月読んだ本・今月の1冊 凪良 ゆう【流浪の月】
▶首都圏連続不審死をステップにした女性の成長物語【BUTTER】
・題材はあの有名な事件
・スカーレットとメラニー的友情
・バターの適量
▶おわりに
今月読んだ本
10冊
今月の1冊 凪良 ゆう【流浪の月】
あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい―。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

歪んでいると言われるものこそ、ピュア

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以前からずっと読みたくてウズウズしていた積読本。文庫になり、外出出来なくなったことで、いよいよ購入に至りました。
柚木麻子さん渾身の長編【BUTTER】は、ある有名な事件が題材となったことでもかなり話題となった作品です。
首都圏連続不審死をステップにした女性の成長物語【BUTTER】
題材はあの有名な事件

スカーレットとメラニー的友情
結婚詐欺の末、男性3人を殺害したとされる容疑者・梶井真奈子。世間を騒がせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿と、女性としての自信に満ち溢れた言動だった。週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、親友の伶子からのアドバイスでカジマナとの面会を取り付ける。だが、取材を重ねるうち、欲望と快楽に忠実な彼女の言動に、翻弄されるようになっていく―。読み進むほどに濃厚な、圧倒的長編小説。

バターの適量


おわりに

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