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    shoko

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    先月の分も今月はたくさんの本を読むことが出来ました。ラグビーで盛り上がった10月。ラグビーの試合以外はほとんどテレビもつけずに読書時間を多めに。心が落ち着く時間はやっぱりこの時間だけです。

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    今月読んだ本  

    • バンクーバーの朝日/西山 繭子
    • プレゼント/若竹 七海

    • ジェノサイド/高野 和明

    • 人間失格/太宰 治

    • ぼくのミステリな日常/若竹 七海

    • ヒキタ クニオ
    • 触法少女 誘惑/
      ヒキタ クニオ

    • 群 ようこ
    • ルパンの消息/
      横山 秀夫

    • 注文の多い注文書/
      小川 洋子

    • 九月が永遠に続けば/
      沼田 まほかる

    • ため息の時間/
      唯川 恵

    • ララピポ/
      奥田 英朗

    • BAR追分/
      伊吹 有喜

    • 君が降る日/
      島本 理生

    • オムライス日和 BAR追分/
      伊吹 有喜

    16冊


    今月の1冊 群ようこかもめ食堂

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    胸が苦しくなるような作品ばかりを選んでしまうここ数年。久しぶりに本を読んだだけで、心の中が温まるような作品に出会いました。

    かもめ食堂】は映画化もされてかなりの有名作品だったにも関わらず、全く接点なくこれまで過ごしてきてしまったことを、後悔するくらい。

    ヘルシンキの街角にある「かもめ食堂」。日本人女性のサチエが店主をつとめるその食堂の看板メニューは、彼女が心をこめて握る「おにぎり」。けれどもお客といえば、日本おたくの青年トンミひとり。ある日そこへ、訳あり気な日本人女性、ミドリとマサコがやってきて、店を手伝うことになり…。普通だけどおかしな人々が織り成す、幸福な物語。

    映画を観ていなくてもフィンランドの風景が目に浮かんでくるような描写。シナモンロールとおにぎり。フィンランドと日本をそれぞれ代表するソウルフードは、シンプルだけれど、愛情を感じさせてくれる。

    SHOKO

    大切なことはとてもシンプル

    生きていくこと自体が困難に思える今こそ、食と人のあたたかさに触れることが大事なのでは。そんな風に思わせてくれました。人との関り合いを避けるようになった大人たちが、今読むべき作品ですね。言葉のひとつひとつがとても優しいから、誰も傷つかない。そこもポイントです。

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    心にダメージの残る読後感の作品3選

    かもめ食堂で癒された一方で、かなり読後にダメージがあった作品もありました。正直言えば、そうゆうのが好きなのですが。今月出会ったかなり強度のある3作品をご紹介します。
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    ジェノサイドとは大量殺戮のこと。タイトルからしてかなりのダメージを与えてくれそうです。

    創薬化学を専攻する大学院生・研人のもとに死んだ父からのメールが届く。傭兵・イエーガーは難病を患う息子のために、コンゴ潜入の任務を引き受ける。2人の人生が交錯するとき、驚愕の真実が明らかに――。

    ハリウッド映画にありそうな未知の生物や病原菌を殺戮で排除しようとする国と、真っ向から戦う傭兵たちと日本人。ジェノサイドと言うからには、かなり残酷なシーンも多く、心が強くダメージを受けます。とても現実的ではない設定なのに、これから先に実際に起こりうる事態に思えてくる。

    それなのに、ページを捲る手は止められず、先が気になって仕方なくて朝5時に起床して貪り読みました。

    ひとりの命を救うために、自分に何かが出来るチャンスが訪れたのなら、臆せず可能性にかけられる人間でありたい。私はジェノサイドを読んで、こんな風に考えました。

    中江有里さん (女優・脚本家)

    この物語は、人類の行方を予言している。新たな神話を読むようだ。

    まさに人類のそう遠くない未来の予言、のような気がしてくる。その世界で、日本人の勇気や努力が誰かを救うと考えたら、希望に溢れている作品なのかもしれません。


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    触法少年(しょくほうしょうねん)とは、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年である(少年法3条1項2号)

    刑法41条は「14歳に満たない者の行為は、罰しない」と規定し、刑事未成年者である触法少年を処罰対象から除外しています。つまり13歳で罪を犯したら処罰されないということ。この法律がキーポイントになる、作品です。

    幼い頃、母親に棄てられた過去をもつ深津九子。児童養護施設から通う学校では、担任が寄せる暗い欲望を利用して教師を支配していた。同じクラスの西野も九子の下僕だし、里実からは憧れの対象として崇められていた。ある日、母親の消息を知るチャンスが巡ってきた。運命は激しく動き出す。母親なんていらない。戦慄だけでは終わらない、読者の心を震わせる書下し長篇完全犯罪ミステリー!

    主人公の九子は自分を棄てた母親を見つけ出し毒殺しようと考えます。それも13歳のうちに。彼女の受けた虐待による苦しみ、悲しみを考えると母親は殺されて当然だと読者も考えてしまう。許されないことだと理解しておきながら、復讐を成し遂げさせたいとどこかで思う。

    だけど刑事のこの言葉、 『殺してしまいたくなる人間はいる。しかし、殺していい人間なんてこの世にはいない』が全て。殺していい人間なんてこの世にはいない。結局人を殺すことで解決する問題も不幸を止めることも出来ないのだと、大人こそ気がつかなくてはいけない。


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    九月が永遠に続けば

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    イヤミスの女王、と言われる沼田まほかるさん。読後感が悪くて当たり前です。寧ろそれが売り。

    高校生の一人息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。息子の行方を必死に探すうちに見え隠れしてきた、雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が、佐知子の恐怖を増幅する。悪夢のような時間の果てに、出口はあるのか――。人の心の底まで続く深い闇、その暗さと異様な美しさをあらわに描いて読書界を震撼させたサスペンス長編。

    この作品が沼田まほかるさんの2005年のデビュー作品。これまでにもいくつか作品を読んできましたが、他のイヤミス系の作家さんとは何かが違う。今作もとても辛い描写や気分を害するようなシーンはあるのですが、そうした場面ですら、文章が美しい。それがとてつもなく、魅力的です。

    共感できない、読後感悪すぎ、と言った意見がある一方で、1度ハマリ出すと止まらないのは、この言葉の美しさにあるのではないかと思っています。デビュー作からこんなにもクオリティが高かったなんて、未読の作品も楽しみです。


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    おわりに

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    映画が話題になっていたので、なんとなく太宰を読んでみたくなって手に取った人間失格。かなり昔に1度読んだことがあったのですが、その時はなんだこの男、という怒りに近い感情しか沸かずその後も印象に残っていませんでした。

    だけど人生を重ねた今改めて読んでみると、全く違う印象を受けました。なんかちょっと人間らしくて愛すべき男なんじゃ、といった風に。人ってこうやって、変化していくもの。変わらないものなんて、何もない。

    映画を観る時間が全く取れないのだけど、これはやっぱり観たいな。

    ブロトピ:こんな記事書きました!


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