【2019年7月読書レポート】関ヶ原と雫井脩介に尽きる日々
長年積読本だった大作関ヶ原をついに読破した7月。これまで知らなかった、あの天下分け目の戦いにまつわる様々な思惑をじっくりと感じ取ることが出来た貴重な読書月間でした。
言わずと知れた超大作。司馬遼太郎さんの【関ヶ原】
日本アカデミー賞を受賞した映画版がテレビで放送され、1度観ただけでは理解出来ず、再度はじめから終わりまで観たところで、これはもう原作を読まないではいられない、と決意したわけです。
関ヶ原の戦い、小学生の時から頭に刷り込まれてきた天下を分けたというこの戦いについて、私はあまりにも知らなさすぎた。徳川家康が勝利して豊臣家の天下が終わった。これが映画と本に出会うまでの私の関ヶ原の戦いに関する知識でした。
そして読了後、私が思う関ヶ原とは、
SHOKO
関ヶ原の戦いは戦術や武力、ではなく、駆け引き、密約、裏切り、そんな政治の戦いだったんだ。徳川家康は、まさに政治家そのもの。どれだけ上手く立ち回れるか、が勝敗を決めるのは今と全く同じじゃない。
実はそんな人間ドラマは、事実ではないのだと言う意見があることも知りましたが、私は司馬遼太郎さんの描いたあの時代を信じたい。
今月はさらにどっぷりと雫井ワールドに入り込んでしまいました。不気味なサスペンスの中にも人間的な魅力を感じる登場人物と、ありそうでなかった視点。ここが惹き付けられるポイントです。
第7回(2005年)大藪春彦賞受賞、2005年本屋大賞第7位、さらに2007年には豊川悦司さん主演で映画化。1度は耳にしたことがある、というほど雫井作品の中でもかなりのメジャー作品。
テレビのニュース番組に捜査官が出演して、犯人に訴えかけるという新しい捜査方法。現実的に警察がこんな手法で捜査をすることはないのだろうけど、こんな形もありなんじゃないかと思わせてくれる。
だけど私がこの作品の1番の面白さだと思うのは、テレビを通じての犯人との駆け引きよりも、劇場型捜査というものを頭を使って上手く利用した主人公のキレの良さ。凄惨な事件なのに少しゲーム感覚に感じるところは問題かもしれないけれど、結局は捜査官の頭脳と足が勝つ、という点では、意外と古典的な警察モノに近いのかもしれない。


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視点の新しさで言えば、この作品は1番。自分の息子が加害者か被害者のどちらかであって、加害者であれば同級生をリンチ殺人した凶悪犯、被害者であれば恐らく生存している可能性はない。そんな状況での、両親が主人公。
加害者であっても良いからただひたすら生きていることを祈る母親と、社会的立場を考え被害者である方を願う父親。
結果どちらであっても苦しい、現実。人間とは、家族とは、社会とは。様々なことを考えさせられる内容。すでに犯罪加害者の家族であるとか、被害者の家族である人が主人公になる作品はいくつもあるけれど、自分の家族がとちらなのかまだわからない場合、
自分は何を望むのだろう。
読了後もすっと、何やら重い課題を背負ったような感覚に襲われます。まだ詳細は発表されていませんが、こちらの作品の映画化も決定したみたいです。
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これまで紹介してきた雫井作品とは少し雰囲気の異なるタイプの作品。ネット集団自殺がテーマになっているけれど、それだけではない不気味さを終始漂わせる。この不気味さの正体は最終的にはわかるのだけど、ありがちな設定を視点を変えることで新しい捉え方にする雫井さんの力だな、と感じました。

今月読んだ3作品、どれもただのミステリーではない深さと新しさを感じるものばかりでした。すっかり雫井ワールドにはまった私はまだまだ抜け出せそうにありません。
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最後に読んだ【犯人に告ぐ2】の続編、【犯人に告ぐ3】が実は来月発売されます。映画化もされた1に比べるとちょっと大人しいな、という印象だった2はまだ続きがあったのです。これはかなり、期待できますよね。
犯人に告ぐを未読の方はこの夏休みチャンスに一気に1から3まで読破したら、かなり読みごたえがあると思います。夏休みに読書時間がある方はぜひ。
やっぱり8月も雫井ブーム、続きそう。
ブロトピ:こんな記事書きました!
今月読んだ本
11冊

現代の政治と政治家そのもの
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今月はさらにどっぷりと雫井ワールドに入り込んでしまいました。不気味なサスペンスの中にも人間的な魅力を感じる登場人物と、ありそうでなかった視点。ここが惹き付けられるポイントです。
犯人よ、今夜は震えて眠れ-。連続児童殺人事件。姿見えぬ犯人に、警察はテレビ局と手を組んだ。史上初の劇場型捜査が始まる!
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望み
年頃の息子と娘を育てながら平穏に暮らしていた石川一登・貴代美夫妻。9月のある週末、息子の規士が帰宅せず連絡が途絶えてしまう。警察に相談した矢先、規士の友人が殺害されたと聞き、一登は胸騒ぎを覚える。逃走中の少年は二人だが、行方不明者は三人。息子は犯人か、それとも……。規士の無実を望む一登と、犯人でも生きていて欲しいと願う貴代美。揺れ動く父と母の思い――。心に深く突き刺さる衝撃のサスペンスミステリー。
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犯罪小説家
新進作家、待居涼司の出世作『凍て鶴』に映画化の話が持ち上がった。監督に抜擢された人気脚本家の小野川充は『凍て鶴』に並々ならぬ興味を示し、この作品のヒロインには、かつて伝説的な自殺系サイト〔落花の会〕を運営していた木ノ瀬蓮美の影響が見られると、奇抜な持論を展開する。待居の戸惑いをよそに、さらに彼は、そのサイトに残された謎の解明が映画化のために必要だと言い、待居を自分のペースに引き込もうとしていく。そんな小野川に、待居は不気味さを感じ始め―。全篇に充ちた不穏な空気。好奇心と恐怖が交錯する傑作心理サスペンス。
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おわりに
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