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    shoko

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    梅雨入りして蒸し暑さが増した6月でしたが、読書時間は1日の中で唯一の癒し。今月も沢山の作品に出会いました。

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    今月読んだ本  


    • ツキマトウ 警視庁ストーカー対策室ゼロ係/真梨 幸子
    • 星々の舟 Voyage Through Stars /村山 由佳

    • 君の膵臓をたべたい /住野 よる

    • そしてミランダを殺す /ピーター・スワンソン

    • 自殺予定日 /秋吉 理香子

    • 劇場 /又吉 直樹

    • 君の悲しみが美しいから僕は手紙を書いた/若松 英輔
    • 政治的に正しい警察小説 (小学館文庫) /葉真中 顕

    • 坊主失格 /小池 龍之介
    • ガラスの殺意 /秋吉 理香子
    • 検察側の罪人 /雫井 脩介

    • 花酔ひ /村山 由佳

    12冊
     

    今月の1冊 雫井 脩介【検察側の罪人


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    木村拓哉二宮和也の共演で話題となった同タイトル映画原作です。私は映画を観ていませんし、雫井さんの作品も初めてでした。

    東京地検のベテラン検事・最上毅と同じ刑事部に、教官時代の教え子、沖野啓一郎が配属されてきた。ある日、大田区で老夫婦刺殺事件が起きる。捜査に立ち会った最上は、一人の容疑者の名前に気づいた。すでに時効となった殺人事件の重要参考人と当時目されていた人物だった。男が今回の事件の犯人であるならば、最上は今度こそ法の裁きを受けさせると決意するが、沖野が捜査に疑問を持ちはじめる―。

    このデータベースの文言を読んだだけでは、よくある法廷モノか、というイメージ。しかも木村拓哉が検察って、それHEROとかぶる、なんて考えていました。


    けれども、そのイメージは見事に覆されることに。

    SHOKO

    正義とは何なのか

    法曹界の人間にとっての正義は、ひとつでなければならないはず。でも検事だって人間なのだと、改めて思い知らされる。自らの立場や影響力を考えられる理性を、瞬間的にでも失った時、どんな地位の人間でも過ちを犯すのだなと。

    それが犯罪でなくても、一般人の日常の中でも、過ちを犯した瞬間は理性が働かなかったりする。あの時のあの決断に、もう少し理性を働かせていれば、と後悔することばかり。


    あまりにも強烈だったので、これから映画を観ることにしました。あのジャニーズのお二人が、どんな風に演じているのかちょっと興味ある。

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    ただのイヤミスではない秋吉 理香子作品



    秋吉理香子さんと言えば、イヤミス作家だと聞いていました。多分一番有名なのが、この暗黒女子、ですよね。


    イヤミスは大好物なのですが、今回出会った秋吉作品のふたつは、ただ単にイヤミス、と定義される作品ではありませんでした。

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    ガラスの殺意

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    高次脳機能障害を抱える女性が殺人を犯す、ところから始まるミステリー。読後感が悪いイヤミスではなく、この病気についてあまりにも無知であったことを痛感させられた、それが1番の感想

    20年前に起きた通り魔事件の犯人が刺殺された。警察に「殺した」と通報したのは、その通り魔に愛する両親を殺された柏原麻由子。だが、麻由子は当時現場から逃げる途中で交通事故に遭い、脳に障害を負っていた。警察の調べに対し、麻由子による通り魔殺害の記憶は定かでない。はたして復讐は成し遂げられたのか―?

    脳に障害を持つ主人公の女性が、本当に殺人を犯したのか。ひとりで介護していた夫の存在、そして過去の事件への憎しみと悲しみ。ミステリー的要素十分。作品の展開もとても面白い。 

    ただ、終始記憶が数分から数秒しか持たないこの病気について、私は驚くことばかりでした。


    高次脳機能障害という病名を初めて聞いたのは、globeのkeikoのニュース。それを語る小室哲哉氏の表情が印象に残っている。回復しているのならまた歌えるようになるのではないの?なんて安易に思っていました。だってglobeは青春そのもの。あの声がまた聴けるのなら、聴きたい人はたくさんいる。

    だけど、この障害はそんなたやすいものではないことを、今回この作品を通して知ることが出来ました。自分が殺人を犯したかどうかでさえわからない。それどころか日常生活において、旦那さんの顔も覚えられない、数分前のことを記憶していらないから、本も読めない、料理もままならない。

    介護をしている人の苦しみや辛さ、本人の恐怖心、全て想像以上でした。病気への理解は、まず知ることから始まると思う。ミステリーとしての面白さがあるのはもちろんですが、高次脳機能障害のことを知る良いきっかけになる作品でした。


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    自殺予定日

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    タイトルに強烈なインパクトのあるこちらの作品。

    「美しく強かな継母が父を殺した」父の死後、生命保険金と遺産、そして順風満帆のビジネスを引き継ぎ、生き生きと活躍を始めた継母の姿に、女子高生の瑠璃はそう確信する。けれど誰にも信じてもらえない。天涯孤独となった瑠璃は、死をもって継母の罪を告発するため、自殺の名所と言われる山奥で首を吊ろうとし―そこで幽霊の裕章と出会った。彼は継母の罪の証拠を見つけようと提案する。期限以内に見つからなければその時死ねばいいと。今日から六日後―それが瑠璃の自殺予定日となった。すべての予想を裏切る、一気読み必至の傑作ミステリ!

    データベースを読むと、イヤミス感がプンプンしますが、実際はものすごく爽やかなスッキリとした読後感の作品です。タイトルの重みとは異なり、一気読み出来ちゃうライトさ。ミステリーと言うよりは、青春モノに近い。


    秋吉理香子さんに抱いていたイヤミス作家さん、というイメージは今回の2作品で払拭されました。文章もとても読みやすく、内容もわかりやすい。でもしっかり揺るぎないテーマがある。これからも秋吉さんに、大注目です。

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    おわりに

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    心を揺さぶられる作品に出会った一方で、あまりにもダメ過ぎるダメ男が登場する作品に2つも出会ってしまった6月。ひとつは又吉直樹の『劇場』もうひとつが小池龍之介の『坊主失格』

    ダメ男っぷりが半端なくて、特に小池さんの方は自叙伝なので、本当にこんな人が今お坊さんになっているのかって信じられないくらい。すっかり改心出来ているのなら、修行の賜なのだろうけど、そう素直に思えないくらい、ヒドイです。ここまで過去の自分を赤裸々に語るということは、今の自分に自信を持っているということの、表れなのかもしれませんが。
    やっぱり読書って、いろいろな発見があるよね、と改めて感じた6月なのでした。

    ブロトピ:こんな記事書きました!


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