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    shoko

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    今月出会った作品は普段あまり問題意識を持たずに生きている私にとって、非常に大切な時間を与えてくれました。毎日美味しいものと美容のことで頭をいっぱいにしている私が、日のこと、社会のこと、政治のことをちょっとでも思うきっかけになった作品を紹介します。

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    今月読んだ  

    • 思い出のとき修理します 2 明日を動かす歯車/谷 瑞恵
    • ロスト・ケア /葉真中 顕

    • 牧師館の殺人 /アガサ クリスティー


    • 甘いお菓子は食べません /田中 兆子

    • 悪徳の輪舞曲 /中山 七里

    • 嘘 Love Lies /山崎 ナオコーラ
    • 君の嘘と、やさしい死神 /青谷 真未

    • 魔法のコンパス 道なき道の歩き方 /西野 亮廣
    • 九死一生 /小手鞠 るい
    • i(アイ) /西 加奈子

    11冊
     

    今月の1冊 葉真中 顕【ロスト・ケア】


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    【絶叫】で衝撃を受けた葉真中顕さんの第16回日ミステリー文学大賞新人賞受賞作品が、この【ロスト・ケア】です。

    戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奥に響く痛ましい叫びー悔い改めろ!介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、善悪の意味…。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る!全選考委員絶賛のもと放たれた、日ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
    ※「BOOK」データベースより

    まさしく日における最大の課題、超高齢化社会で起きた介護ミステリーミステリー文学賞作品だし、ミステリーというカテゴリーなのかもしれないけれど、これはもうドキュメンタリーのような感覚です。

    ロスト・ケアとは、喪失の介護。究極の介護だと、作品の中で犯人は言います。殺すことで彼らと彼らの家族を救ったのだと。実際に被害者家族は、救われた、と証言している。もちろん43人もの殺人を行った犯人は死刑になるのだけれど、それでも犯人は正しいことをした、と言い残します。

    実際に私もこの彼のしたことは、究極の介護なのかもしれないと思うようになる。自分の親だったら、家族だったら、大切な人だったら、そんな風には決して言えないでしょ、という意見があって当然だし、それが正常なのだとわかっている。

    この議論はどんなに時間を費やしても、決着がつくことはないだろうと言うこともわかっているのだけど、ロストケアを何らかの条件付きであったとしても、どこかで認めなければいけない時代が来る。

    『すべて国民は、個人として尊重される。』のであるならば、ロストケアを選択することは、個人の尊厳につながるのではないかと、思ってしまうのです。

    人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい。

    作品の中に、このキリストの教えが出てくるのも、印象的。私自身は、家族や人に迷惑をかけるようになってしまったら、ロストケアを望みます。そうしてもらいたいと思います。じゃ、それを人にもしてあげることは…。


    出来ません。犯罪です。



    100円で読めちゃうなんて。これは買い、だな。

    この作品を読んで考えることは沢山ある。そうやって問題意識を多くの人がもって考えると、政治はこのままで良いのか、選挙に行かなくちゃ、とよりたくさんの人が思うようになる気がする。国は日本の介護が崩壊することを、もうずっと前から認識していたのに、万全な対策をとらなかった。そのことも、作中で深く知ることになるのです。

    とてもディープな作品ですが、激しくおすすめしたい。

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    リアリティあるパンデミックの恐怖 仙川環封鎖


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    社会派作品で今月出会ったもうひとつの作品が、仙川環さんの【封鎖】です。

    人口60人ほどの小さな田舎の集落に突如発生した鳥インフルエンザウィルス。国は交通も通信も完全に遮断して集落を見殺しにする形で、対処することになる。封鎖された集落の人々の怒り、苦しみ、不安。そして処置を施す医師たちの葛藤。救出に尽力を注ぐ人、差別する人、傍観する人。

    何が正解なのか、今でも私にはわからない。

    1億人の命と60人の命。国がどちらを守らなければならないのかはわかってる。だけど、その60人に自分が含まれていたら、もしくは自分の家族や友人が含まれていたら、自分はどう行動する?

    パンデミックと言えば私の中では真っ先に【アウトブレイク】がよぎるのだけど、あれを観た当時はまだ遠い国での話で、実際に日本で起こることまで想像できなかった。けれど、この【封鎖】では、驚異的な致死率の鳥インフルエンザウィルス。それが人から人へと感染する新型になったのではないか、という非常にリアリティ溢れる恐怖でした。

    封鎖 (徳間文庫) [ 仙川環 ]

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    こちらも中古だと100円。


    現実の日本政府は、こうした場合にどう対応するのだろうか。自分はその時どう行動したら良いのだろうか。考えてみてもきっと答えは出ないのだけど、考える価値はある。この作品を読むことで、1度家族とそんな話をしてみるきっかけになるはずです。

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    おわりに

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    私の読書時間はほぼお風呂。もう長年続けているので濡らさないように読むことには慣れているのですが、最近知ったコレがめちゃくちゃ気になる。

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    そう来たかーー、と思わず唸ってしまったこの防水ブックカバー。カバーしたままページが捲れる優れもの。これ欲しい。これがあったら、水濡れはもちろん湯気も気にならなくなってもっとお風呂で読書が快適になりそうです。

    ますます長風呂になって、嫌がられるかもしれないけど。



    ブロトピ:こんな記事書きました!


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