【2019年2月読書レポート】サラバに尽きる2月の本
春が近づいてきていることを否応なしに感じることになった、2019年2月。ひとつの作品にすっかり、打ちのめされました。
今月読んだ本
12冊
打ちのめされる。
まさにそんな感じです。
西加奈子さんに打ちのめされました。ずっと読みたかった直木賞作品、サラバ。積特本にずっと溜め込んでいたのに、なんだか始められない1ページ。それは、読み始めてしまったらノックアウトされることがわかっていたからなのかもしれません。
サラバ
私にはそれに代わる言葉があるだろうか。
まさにそんな感じです。
私にはそれに代わる言葉があるだろうか。
サラバ
まだ私には、その言葉に代わるワードは、思い付かない。
サラバ、ずっと読みたかった積読本。
言わずと知れた直木賞受賞作品、サラバです。
西加奈子さんの作品をこれまでいくつか手にとってきましたが、正直自分に合わないと思ってきました。それは、作風も方言も様々な要素があったのだけれど、とにかく作品全体を通して吹く風が違う、そんな印象でした。
だけどサラバを読んで、そんなことまるで、関係なかったのだと思い知らされた。数多くの著名人が傑作だと評価しているこの作品は、そんな温度差なんて超越したものでした。信仰とかそういった明確なものでなくても、人生芯を持たずに、一生受け身で居続けることは出来ないのだと、教えてくれる。
サラバ
自分はこの歳になってもまだ信じるものも芯もない。だけど、サラバを読んでから自分の中で何かが変わった。そのことだけは、明確な変化なのです。
上手く言えないけれど、人が生きる上で何か大切なヒントを与えてくれる作品です。読んで良かった。こんな風に思える作品は、1年間を通して数少ない。
生きるって、何だろう。
って考えている人。
サラバ、を呼んでみて欲しい。
答えは出ないかもしれないけれど、何らかの糸口が見いだせるはずです。

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ブロトピ:こんな記事書きました!
小川糸さんの日記【犬とペンギンと私】
【食堂かたつむり】など心温まる作品で人気の小川糸さん。彼女の作品はいくつか読んできましたが、どれも素敵な料理の描写が印象的でした。今回読んだ【犬とペンギンと私】は、実は糸さんの日記です。
2014年1年間の彼女の日記を盗み読みしている気分。人様の日記を読んでこんなにも面白い思うなんて。いや、こんなにも面白い日記を書けるから、作家さんなんですよね。彼女の1日1日は実に興味深いことばかりでした。
ペンギンというのは、旦那様のこと。これは後から知ったことなのですが、旦那様は、26歳年上なのです。結婚当時は犯罪、とまで言われたらしい。そんな旦那様とコロという犬(飼っているワンちゃんではなく、週末や日中だけ預かるワンちゃん)との毎日、食事、旅行などが盛り沢山です。
夫婦ともにとてつもなく忙しいはずなのに、予想通りとても丁寧に生きている糸さん。彼女自身ファーストフードというものを知らずに育ったそうで、それは彼女が描く料理描写からも感じ取れますが、ひとつひとつの料理に手間を惜しまない。その姿勢は、生活のあらゆるシーンに影響しているのだな、と思う。旅に出ても、犬との生活も、全てにおいて丁寧。そして、楽しむ。
日常を楽しむことって、丁寧な生活がベースになっているのだと自らを省みて恥ずかしくなるのでした。
日記の中の言い回しもとても面白い。
『ドイツは引き算、フランスは足し算、スイスはプラマイゼロ』
糸さん夫婦が長期間ヨーロッパに滞在している時に、ドイツフランススイスの3か国をこう表現して、思わず頷いてしまいました。
『ドイツは引き算、フランスは足し算、スイスはプラマイゼロ』
糸さん夫婦が長期間ヨーロッパに滞在している時に、ドイツフランススイスの3か国をこう表現して、思わず頷いてしまいました。
私はエッセイよりもフィクション作品の方を好んでいましたが、こうした日記やエッセイを読むと更にその作家さんの書くフィクション作品も楽しめますね。
おわりに
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