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    shoko

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    あまりの猛暑にからだがついていけなかった7月。それでもW杯が終わってからは日常を取り戻してテレビ中継を観ていた時間がそのまま読書時間になりました。熱帯夜に読書、あんまり没頭していたら読書しながら熱中症になりそうで危険です。
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    7月に読んだ本


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    ・一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常/二宮 敦人
    ・アニバーサリー /窪 美澄
    ・お引っ越し /真梨 幸子
    ・翼がなくても /中山 七里
    ・検事の本懐 /柚月 裕子
    ・検事の死命 /柚月 裕子
    ・Q&A /恩田 陸
    ・ぼくはまだ、横浜でキスをしない /樋口有介
    ・作家刑事毒島 /中山 七里
    ・死命 /薬丸 岳
    ・氷の轍 /桜木 紫乃
    ・あられもない祈り /島本 理生 
    ・リトルバイリトル /島本 理生 

    13冊 138ページ/日

    今月の1冊 恩田陸【Q&A】

    今月のピックアップは、恩田陸さんの【Q&A】です。

    恩田陸さんと言えば、【蜜蜂と遠雷】【夜のピクニック】【チョコレートコスモス】など、名作と呼ばれる作品が数多くあります。だけどこの【Q&A】という作品は名作路線からはかなり外れた、身も凍るようなミステリー。しかも、イヤミスと呼べるくらい、ゾクゾクする読後感です。

    ある大型スーパーマーケットで火災が発生した、という第一報から始まるこの事件は、結果として多くの死傷者を出す大惨事になります。でも、実は火事が起きたわけでも、テロが起きたわけでもない。何も起きていない。強いて言えば、原因は、人間のパニック。ひとつのパニックが、引き金となり発生する大惨事。しかも、その裏に潜んでいるものの存在に驚愕します。

    こんなこと現実にあるの?いや、ありそうだから恐ろしい。熱帯夜に震えるような恐ろしさを味わい方には、おすすめです。もうひとつ、この作品は終始会話形式で進んでいきます。だからQ&A。状況の説明も、事態の把握も、全て会話の中で。いつもとは違った作風にもこれまでの恩田陸さんとは、一線を画する作品です。

    ダ・ヴィンチのこの記事が全てを物語っています。とてもわかりやすいのでぜひ▶▶主人公不在、 終始「Q&A」の対話で進む…直木賞作家・恩田陸による驚愕の現代ミステリー

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    今月は他にも至極のミステリーがありました。夏はやっぱりミステリーでしょ、というわけで、今月読了したオススメミステリーをご紹介します。

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    薬丸岳【死命 】


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    まずは薬丸岳さんの【死命】

    最近では映画【友罪】が公開されて話題となった薬丸岳さん。犯罪をとりまく人間の心理を巧みに表現することで人気の作家さん。とにかく読み出したら止まらない、という噂を聞いていたのですが、それは真実でした。

    末期がんで余命わずかの刑事と同じく末期がんにより余命わずかとなった犯人。このふたりの辿っていく最期までの道のりは、それぞれの使命をまっとうする時間。それはまさに死命。

    凶悪で許しがたい犯罪なのだけど、どこかで犯人を許容してしまう自分がいる。これは作者の心理描写があるからだと思う。薬丸岳さんは救いようのない人間なんていないと、考えているのではないかな。どこかで凶悪な犯罪を犯す犯人に対しても優しさが感じられるのです。

    深くずっしりと重たいミステリーなのに、一気読みしてしまうから、寝苦しい夏の夜に一気に読破してしまいましょう。


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    桜木紫乃【氷の轍】


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    桜木紫乃さんの【氷の轍

    桜木紫乃さんと言えば舞台は北海道。それも札幌ではなく、更に寒さの厳しい地域なことが多い。そして常に物悲しく寂しい雰囲気。あまりに暑い毎日だから、北の大地で起こるミステリーが良いのではと、手に取りました。

    二人デ居タレドマダ淋シ、
    一人ニナツタラナホ淋シ、 
    シンジツ二人ハ遣瀬ナシ、 
    シンジツ一人ハ堪ヘガタシ。 
    (北原白秋「他ト我」より)

    この作品のキーともなる北原白秋のこの詩の一説が冒頭に書かれています。この引用だけでもすでに悲しみの上にあるミステリーだとわかります。親子とは、血のつながりとは、守るべきものとは、考えながら、寒々とした北の風景を思い描きます。都会で起こるミステリーとは、全く違った感覚を感じられる作品です。

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    柚月裕子【検事の本懐・検事の死命】


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    最後に柚月裕子さんの【検事の本懐・検事の死命】

    先月の読書レポートでもご紹介した、柚月裕子さんの【最後の証人】佐方シリーズ。その二作目と三作目です。▶▶【2018年6月読書レポート】今が旬な人気話題作3選

    【最後の証人】で法廷に立っていた佐方貞人弁護士が、検事時代の話。弁護士であるにも関わらず、犯罪者となり刑期を終える前に病死した父親の秘密が二作に渡って明らかになります。

    私は涙をこらえられませんでした。自分を犠牲にして人のためになることを躊躇しない、そんな人こそが本物の検事であり弁護士なのだとわかる。現実にそんな検事さんや弁護士さんはどのくらい存在するのだろう。

    三作目が終わっても佐方貞人という弁護士が検察をやめることになった事件はまだ明確になっていません。続きがこれから出るのかな。今のところは三部作。それぞれの章で事件は終わるので、一気に読み進められなくても大丈夫です。

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    まとめ


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    さすがの暑さに昼間の読書のお供は、アイスクリームの出番がかなり増えました。ここまで暑いのならもう外出を諦めてエアコンの効いた室内でミステリーを読みながら過ごすというのは、熱中症対策にも良いかもしれません。


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