【2018年5月読書レポート】映像化キャストが原作に見事にマッチした作品3選
連休があったりしていつもの生活ペースをキープしにくかった5月。読書量はいつもより少し少なめになってしまったけれど、面白い作品に沢山出会えました。
■目次
▶5月に読んだ本・今月の1冊
▶沼田まほかる【彼女がその名を知らない鳥たち】
・映画【彼女がその名を知らない鳥たち】
▶真梨幸子【殺人鬼フジコの衝動】
・HULUオリジナルドラマ【フジコ】
▶山口 幸三郎【探偵・日暮旅人の探し物】
▶まとめ
5月に読んだ本
・夢・出逢い・魔性 /森 博嗣
・さようなら、私 /小川 糸
・アルテーミスの采配 /真梨 幸子
・カネと共に去りぬ /久坂部 羊
・殺人鬼フジコの衝動 限定版 /真梨 幸子
・魔剣天翔 /森 博嗣
・チョコレートコスモス /恩田 陸
・恋恋蓮歩の演習 /森 博嗣
・探偵・日暮旅人の探し物 /山口 幸三郎
・彼女がその名を知らない鳥たち /沼田 まほかる
・MILK /石田 衣良
・五人のジュンコ /真梨 幸子
12冊 144ページ/日
今月の1冊
今月のピックアップは恩田陸さんの『チョコレートコスモス』
恩田陸さんと言えば最近では直木賞を受賞した【蜜蜂と遠雷】が最近では有名ですが、この【チョコレートコスモス】はこれまでの恩田陸作品の中でも一二を争う人気作品。
漫画【ガラスの仮面】をオマージュしている作品としても知られていますが、ガラスの仮面を読んでいない私は、演劇の世界の情熱や厳しさ、それに登場人物の葛藤や所期、そのひとつひとつがとても興味深いものでした。
恩田陸作品はこれまでにもいくつか読んできたけれど、それぞれの作品のテーマをどれも非常に細部まで勉強した上で書かれているのがわかります。
チョコレートコスモスの中でも実際に劇のセリフのやりとりが出てきますが、ほんの数ぺージのそのやりとりを読むだけで、実際に演じられているわけではないその演劇の世界に引き込まれる。蜜蜂と遠雷は未読ですが、同じようにピアノの世界に引き込まれてしまうと、聞きました。
作家さんの中には敢えてすべてを書かずに読者に想像させる、という方も数多くいますが、恩田陸さんの丹念な描写は具体的なイメージとなって読者に伝わる。だからこそ、その世界に入り込まずにはいられないのです。本当に素晴らしい力を持つ方ですよね。
映像化されていなくても、本を読んだだけでまるで実写化されたようにイメージが沸く恩田陸作品。
今月読んだその他の作品の中には、実際に映像化されたものも多くありました。映像化は作品の登場人物とキャストのイメージが合わないことのほうが多いけれど、今月は映像化のキャストがあまりにもしっくりくる、驚きの作品があったのでそれを紹介します。
昨年この作品と【ユリゴコロ】が立て続けに映画化された沼田まほかるさん。私は今月初めて出会いました。イヤミスでその名を知られる沼田さんの作品だから覚悟して挑みましたが、不快な読後感なんて全くない。あまりに深すぎてその深みにハマる、そんなミステリーでした。
凄まじいフラれ方をしたのに昔つきあっていた黒崎を忘れられない主人公、十和子と、その十和子をひたすらに愛し続ける陣治。そして、体だけを求めてくる妻子持ちの水島。共感できる人物がひとりも出てこない珍しい登場人物設定。なのに、読者はその展開からは逃れられない。どんどん、この4名の最低人間たちのディープなところにはまりこんでしまう。ちょっと珍しい雰囲気だと思うんです。
そして、何かが起こりそうな不安を抱き始めると、物語は少しずつ真実に近づくにつれてミステリー要素が濃くなる。ラストで真相が明らかになった時、何故か十和子と陣治のことを最初よりもいとしく感じるようになっていました。何なんだろう、イヤミスとは読後感が悪いミステリーだけど、読み始めはイヤミスで、読後は愛を感じるミステリー。
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映画【彼女がその名を知らない鳥たち】
昨年公開された映画は、評価がとても高く数々の賞を受賞していましたよね。何と言ってもキャストが原作のイメージとぴったりすぎるのです。まるではじめから彼らをモデルに描かれたのかと思うくらい。
主人公十和子に蒼井優さん。
その現恋人に阿部サダヲさん。
超軽薄不倫男に松坂桃李さん。
十和子を捨てたかつての恋人に竹野内豊さん。
この4名、ぴったりです。
特に主演のお二人は、彼ら以外のキャストが思いつかないくらい。
映像化すると原作とキャラクターイメージが合わないことが多いのに、ここまでマッチしてるなんて珍しい。だからこそ、同じ世界観を映像でも描くことが出来たのだと思います。
『あなたはこれを愛と呼べるか』
そのキャッチコピーが表すように、これ、結局ラブストーリー、なんです。とてもラブストーリーな雰囲気はないのに、最後にラブストーリーだとわかるのです。だから、途中までは嫌なミステリー、なのにラストの感覚が変わる。
これまでにない、何とも表現しがたいジャンル。
原作と映画、どちらから先に入っても間違いなく楽しめます。
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こちらの作品はイヤミスの真骨頂とも呼べる作品。読後感も、途中も、いや最初からかなり気分悪いです。それなのに、読まずにはいられない。それが真梨さんの作品ですよね。殺人を繰り返す女、フジコが最初の殺人を行うまでと後では、殺人行為そのものの描かれ方が違う。1度人を殺してからの殺人シーンはとても軽くてスピーディーに描かれている。まるで大した罪ではないみたいに。そして読者もそれに慣れていく。とてつもなく恐ろしく、だけど悲しい物語。
Huluオリジナルドラマ【フジコ】
この作品の映像化はHulu のオリジナルドラマとして発表されました。さすがにこの内容、地上波では無理。そして主役のフジコを演じているのが、尾野真千子さん。これも、最高なキャスティング。殺人鬼だからもちろん恐ろしい女だけど、その根底にある悲しみや悲惨な環境、そういった影の部分を演じられる女優さんですよね。
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山口 幸三郎【探偵・日暮旅人の探し物】
最後に山口幸三郎さんの【探偵・日暮旅人の探し物】
こちらはご存知の方も多いはず。地上波のSPドラマと連続ドラマで放送されました。⏩視覚探偵 日暮旅人公式サイト
視覚以外の一切の感覚を失ってしまった日暮旅人が、探偵として人の探している物、人、場所などを次々と見つけていく。そして徐々に明かされる日暮旅人の身に起きた悲しい過去。心の奥底に眠る復讐心が見え隠れする頃から、物語は一気にミステリーの要素が強くなります。
という内容が、シリーズを通して描かれるのですが、実はこの作品は珍しく映像から先に入りました。ドラマを見て、そして原作を読んで、ドラマがかなり原作に忠実であることがわかりました。
日暮旅人を演じたのは、松坂桃李さん。視覚しか感覚がないという難しい役を見事に演じていました。二つ前に出てきた【彼女がその名を知らない鳥たち】とはまるで違う。一見優しくてマイルドだけど、深い悲しみを抱えているところが、原作の日暮旅人と同じ。もちろん、イケメン、というところもですが。
原作はシリーズ10作品に及ぶので、そんな時間はない、という方はDVD&Blu-rayで観るのもおすすめです。
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ブロトピ:こんな記事書きました!
まとめ
映像化された作品には、私だったら違う人をキャスティングするのにーーー、なんて思うものが多い中、今回紹介した三作品は、見事にハマったキャストのものばかり。だから、活字で読むのは苦手な人も、映像で十分楽しめます。
作品を読むのも楽しいし、映画や動画で見るのも楽しい。気がついたら、テレビをほとんど見なくなりました。録画してもそれを観ることが出来ない。本や配信サイトは自分のその時使える時間を使える分だけ使って、また後で時間が出来たらどこにいても続きから始められる。この利便性を考えると、テレビの価値がなくなってきているのもわかります。往年の人気番組が終了していくのも、必然性を感じてしまうのです。昭和世代としては、ちょっと淋しい気もするけれど。
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