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    shoko

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    4月は暑かったり寒かったり体がなかなかついていかない気候でしたが、私はしっかり毎日読書時間で自分をリセットしているから、元気をキープできました。夜のお風呂と本。体も心もリセットされる大切な時間です。今月もたくさんの素晴らしい作品に出会いました。
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    4月に読んだ本


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    ・月は幽咽のデバイス/ 森 博嗣
    ・抱擁、あるいはライスには塩を 上/ 江國 香織
    ・抱擁、あるいはライスには塩を 下/ 江國 香織
    64(ロクヨン) 上 / 横山 秀夫
    64(ロクヨン) 下 / 横山 秀夫
    ・あなたのための誘拐/ 知念実希人
    ・スイートリトルライズ/ 江國 香織
    天上の葦 上/ 太田 愛
    天上の葦 下/ 太田 愛
    ・40 翼ふたたび/ 石田 衣良
    ・私が失敗した理由は/ 真梨 幸子
    ・ブラッドライン/ 知念実希人
    ・奥様はクレイジーフルーツ/ 柚木 麻子
    ・十二人の死にたい子どもたち/ 冲方 丁
    14冊 171ページ/日

    今月出会った作品の中で1番印象に残っているのが真梨幸子さんの『私が失敗した理由は』

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    イヤミスの女王と言われる真梨幸子さん。イヤミスとは嫌な気持ちになるミステリー。読後感がとにかく悪いもの、のことですよね。そんなイヤミスの女王が書いた作品だからさぞ嫌な気持ちになるのかと覚悟していたのですが、読後感はまずゾワゾワっ、でした。

    タイトルからは、登場人物がそれぞれみんなどこかで失敗をしていてその失敗の理由を探ることで、失敗しない人生を送ろう、的な自己啓発要素のある作品かなと思っていましたが、それも全く違いました。良い意味で期待を裏切られた、いや、期待した方向とは全く違ったベクトルで期待した以上に大幅に先を行ってた、感じです。

    それはもう失敗の度合いは壮絶で、ビックリするほど人が死にます。多くの登場人物が出てくるのですが、序盤の主役級たちは跡形もなくなります。そして最後の最後に、本当に失敗した理由がわかる時、あのゾワゾワがくるのです。ネタバレはしませんが、私はこの作品に対して絶対辛口評価は出来ません。いや。そもそも辛口評価なんてするわけがない。かなり私のタイプでした。

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    真梨幸子さんの作品は他のものもかなりのイヤミスらしいので、これからハマろうと思います。気になった方は一緒にハマってみませんか。GWはお出かけで忙しい人も多いと思いますが、1日どっぷり読書にハマるなんていうのはいかがでしょうか。連休で読むのにちょうどよいボリューム、それが上下巻構成の作品。短すぎず長すぎず、休みの間にぴったり読破できる、そんな長さです。今月はちょうど上下巻構成の作品を三作読んでいたので、ご紹介します。


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    まずは太田愛さんの【天上の葦

    太田愛さんはテレビドラマ『相棒』などの脚本でも活躍する脚本家であり作家でもあります。この【天上の葦】は過去の太田さんの作品のシリーズになっていて、『犯罪者』『幻夏』に続く3作目。メインキャストが同じなのですが、それぞれの作品自体は完結するので、【天上の葦】から読んでも十分に楽しめます。

    物語はひとりの老人が渋谷のスクランブル交差点の真ん中で、空を指さして立ちその直後に倒れて亡くなるところから始まります。この衝撃的な始まりの老人が空を指さした意味が解き明かされるのは、ラストシーン。思わず涙がこぼれました。この事件にはとてつもなく深く悲しい過去と日本国民の緊急事態が関わっていたのです。

    この作品は、たくさんの人に知ってもらわなくちゃいけない。1読者でしかない私がそんな風に思えた4月読了本の中で1番のオススメ作品です。戦争を知らない世代は絶対に読まなくちゃいけない。これまでの学習では知ることが出来なかった戦中の空気を、これまでにはなかった視点で描いています。

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    太田愛さんは脚本家なだけあって、文章を読むだけで映像が浮かんでくるような描写、そしてさまざまなところにばらまかれた伏線の回収の仕方が非常に上手です。

    この作品は2017年に刊行された作品なので、私は2018年本屋大賞ノミネートされていると思ったら入っていなかったのが意外なくらい。第一位を受賞した辻村深月さんの【かがみの孤城】ももちろん、素晴らしかったのだけど、その一位作品に全くひけをとらない、心に強く響く作品です。ゴールデンウィークに、ぜひ読んでみてほしい。

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    『半落ち』『クライマーズ・ハイ』『臨場』など映画化ドラマ化された作品も数多くある横山秀夫さんの名作64。単行本は一冊にまとまっていますが文庫は上下巻構成。この連休の読書にはぴったりのグッとはまりこんでしまうタイプの作品です。


    映画64(ロクヨン)

    この作品は先にNHKでドラマ化され、その後映画にもなったのに私は両方とも見逃していました。3月に地上波で初めて映画が放送されたのにそれも逃してしまう。もうなんてタイミング悪いんだーと思って小説を読んだのですが、今はロクヨンのスタートが活字で良かったと思っています。

    昭和64年というたった7日間しかなかったこの年に起きた少女誘拐殺人事件を巡っての壮大な戦い。それも警察内部の理解しがたい争い。活字で人間関係を整理して追っていくのは最初かなりの労力を要します。だけどそうやって考えながら読んでいくからこそ、下巻に入った時のスピード感についていける。物語は下巻に入るとそれまでのペースから一転して一気にヒートアップします。この感覚が映像ではわからないんじゃないかと思うのです。


    だけどこの予告編を見ていると、映画も相当に面白そう。主演の佐藤浩市さんはこれで日本アカデミー賞主演男優賞を受賞しています。今度は私も映画ロクヨンを観賞したいと思います。
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    江國香織【抱擁、あるいはライスに塩を】


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    殺人事件やミステリーは苦手という方には、江國香織さんの【抱擁、あるいはライスに塩を】をオススメします。主に女性に。

    3世代100年に渡るあるものすごく変わった家族の話です。最初から最後までペースを変えることなく淡々と進んでいくので、ゆっくりお茶でも飲みながら読んでいたい作品。

    江國香織さんの作品は、まず言葉使いが美しいところが好き。あまりに美しくてさらっとしていて洗練されていて、だからなのか不倫とか修羅場とか性描写とか、他の人が書いたら全く温度が違ってきそうなものをとてもクールに書き上げる。この家族の世界観もそんな江國さんの言葉によって作られているもので、同じ設定で西加奈子さんとかが描いたらまるで違うものになるんだろうなー、なんて思う。

    なんせタイトルからしてオシャレだもん。【抱擁、あるいはライスに塩を】って。実は【愛、あるいは自由】を意味している。でも、こんなにオシャレな言葉に変わるところが、江國香織なんですね。男性には理解しがたい世界観かもしれないけれど、GWでまったりできる日があるとしたはカフェで紅茶でも飲みながら読みたい、そんな作品です。
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    まとめ


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    先程も少し触れましたが、今月は2018年本屋大賞の発表があり辻村深月さんの【かがみの孤城】が第一位に選ばれましたね。この作品は私も大好きで、今月改めて再読してみました。学校へ行けなくなってしまったこどもたちだけでなく、今置かれている場所で居場所をなくしている大人にも、勇気を与えてくれる作品です。

    GWに読書している暇なんてない、という声が聞こえてきそうですが、もしも1日でも時間に余裕が出来たら、頭の片隅にでも今回挙げた作品の名前を思い出してもらえたら嬉しいです。

    ブロトピ:こんな記事書きました!


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