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    shoko

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    平昌オリンピックで盛り上がった2月。だけど私のセレクトにオリンピックは一切関係ありませんでした。もちろんテレビではオリンピックを応援して興奮、そしてその後は読書で心を落ち着かせるのが日課。
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    2月に読んだ


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    ・GO 
    金城 一紀
    ・傷痕  桜庭 一樹
    ・バイバイ、ブラックバード  伊坂 幸太郎
    ・流 東山 彰良
    ・時限病棟  知念 実希人
    ・仮面病棟  知念 実希人
    書店主フィクリーのものがたり ガブリエル・ゼヴィン
    ・四季 春 森 博嗣
    ・四季 夏 森 博嗣
    ・四季 秋  森 博嗣
    ・四季 冬 森 博嗣
    ・死んでしまう系のぼくらに  最果 タヒ
    ・淡雪の記憶  知念 実希人
    ・グッド・バイ 太宰治
    ・勝手にふるえてろ 綿矢りさ
    日は、お日柄もよく  原田マハ

    16冊 184ページ/日

    記憶に残る1冊は、2016年第13回本屋大賞、翻訳小説部門第1位に輝いた書店主フィクリーのものがたり

    が繋ぐ素敵な出会い。日本でも今は昔ながらの書店はどんどんなくなっている現実があるけれど、本屋さんはどの町にも必要だと思う。電子書籍派も、ネット購入派も、町の本屋さんを覗きたくなる、そんな温かさがありました。

    今月出会った作品の中から今回は旬の人気作家さん3名をピックアップしてみました。

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    伊坂幸太郎さんを今更旬の人気作家さんだなんてピックアップすること自体、おこがましいことだけれど、今月久しぶりに伊坂さんの作品を読んでやっぱり素晴らしい作家さんだと再確認しました。

    そもそも古い英米文学が好きだった私が、日本の現代作家さんの作品を好むようになったきっかけを作ってくれたのは伊坂幸太郎さんと東野圭吾さん。伊坂幸太郎さんの作品は映像化されたものが多いので本を読まない方でもきっと1度はどこかで目にしているはず。

    有名なところだけでも【ゴールデンスランバー】【重力ピエロ】【死神の精度】などなど。【ゴールデンスランバー】は今韓国でも映画化されて人気のようです。

    私が思う伊坂作品の魅力は何と言っても登場人物のキャラクター。どの作品にも強烈なインパクトを持つ人物たちが登場して、ドラマか映画のような世界を繰り広げる。大がかりなシチュエーションのこともあれば、なんでこんなところに目をつけたのかと思うような日常のヒトコマの時もある。だけどそれぞれにドラマがあって、だからこそ映像化されるのだと思うのです。


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    高良健吾主演でWOWOWドラマ放送中

    このバイバイブラックバードもちょうど今現在、高良健吾さん主演でWOWOWドラマが放送されています。(2月17日スタート全6回)

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    出典:@bbbb_wowow
    この作品もこれまでの伊坂作品と同じくキャラクターがそれぞれに際立っています。高良健吾さん演じる主人公星野は、5股をかけているダメ男。だけど全く憎めない。その星野が高良さんの隣にいる城田優さんの役柄、繭美と共に5人の女性に別れ話をしに行くお話。この見た目からもわかるように繭美は強烈なインパクトを残すキャラクターです。別れさせられる5人の女性たちもそれぞれにちゃんと描かれていて、実はとても奥が深い作品。

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    太宰治【グッド・バイ】オマージュ


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    この作品のもうひとつ面白いところは、太宰治の小説【グッド・バイ】をオマージュしているというところ。未完となった【グッド・バイ】を完成させよう、ということから始まったんだって。となれば、【グッド・バイ】も読みたくなりますよね。

    で、早速読んでみたところ、本当に途中で未完のまま終わっていました。もったいない。太宰が描く続きを読みたい。と思った。伊坂幸太郎さんは見事に現代に置き換えて、このグッド・バイを完成させている。だけど、太宰治ならどう終わらせたのだろうとそちらへ思いを巡らせてしまう。

    伊坂さんは主人公が女性と別れるために連れていくのが、とんでもなく巨漢で共謀で美人とは言えない怪物のような女性であるのに対して、太宰の作品では絶世の美女を連れていく、ところが可笑しくて仕方ない。どっちの方がスッキリ気持ちよく別れられる?こんな怪物を選ぶような男はこちらから願い下げだ、と思うのと、こんな美人を選ばれたら仕方ないな、と思うのと。

    私なら前者です。

    こんな風に別の楽しみ方も出来る、バイバイブラックバード。伊坂幸太郎さんの実力を改めて思い知らされました。


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    知念実希人【病棟シリーズ】


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    最近かなりはまっている知念実希人さん。今大人気の知念さんは、現役のお医者さんです。医師が描く医療ミステリーと言えば、これまで私の中では海堂尊さん、でした。大学病院での医療ミステリーを描いたチームバチスタシリーズは、現役の医師ならではの細かな描写な大学病院の独特な人間模様が詳細に描かれていて難解だけれど引き込まれていきました。

    だけど知念さんは、海堂さんとは全く違う医療ミステリーを書いています。現役の内科医、ということもあるのでしょうか。人の内面や環境がメインの医療ミステリー。難しい専門用語もほとんどないため、とても読みやすくて、わかりやすいのが嬉しいところです。

    この病棟シリーズは仮面病棟、時限病棟の順でつながっています。登場人物は違うし、ストーリーも全く異なるのでそれぞれ単体で読んだとしても問題なく楽しめます。舞台となる病院が同じ病院なのです。どちらもわずか数時間で読みきってしまうほど、手を止められない展開。どちらも医療とは切り離せないテーマなのだけど、もっと人間の本質に迫るような、ミステリーです。

    これからどんどん注目度が増していきそうな知念実希人さん。これだけ人気作家になった今でも週に2回は病院に出ているそうです。天は二物を与えず、なんて嘘だなとつくづく思います。


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    最果タヒ【死んでしまう系のぼくらに】


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    最後に今大注目の詩人、最果タヒさん。以前にエッセイを読んでいましたが、彼女の詩集を読むのは初めてでした。昨年は【夜空はいつでも最高密度の青色だ】の詩の世界が同名の映画として公開され話題になりました。

    詩集を読むのは多分中学生以来、銀色夏生さんの言葉に心をうたれて以来のことです。自分よりだいぶ若い人の詩に今の私が感じ取れることがあるのだろうか、とちょっと斜めに見ながら読み始めました。

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    タイトルも今っぽいし、中高生が読むものなんじゃないかって思いながら読み始めたのに、いつの間にかその一字一句に引き寄せられてる。何の制限もルールもなく、自由に紡ぎ出されている言葉はとてつもなくストレート。何のことを言っているのかさっぱりわからない、なんてことがない。

    彼女の詩の解釈は全て読み手にまかせているらしい。どう読まれたいかは考えずに読み手が言葉によって心を動かすことだけを望んでいるという彼女の言葉は、40を過ぎた十分な大人の私の心も動かしてくれました。

    私の言葉なんて、知らなくていいから、あなたの言葉があなたの中にあることを、知ってほしかった。
    あとがきでこう結んでいるように、彼女の言葉を読んだ読者が自分にも言葉があることに気がつく。同じ言葉でも中高生が感じる言葉と私が感じる言葉はきっと違う。

    わたしをすきなひとが、わたしに関係のないところで、わたしのことをすきなまんまで、わたし以外のだれかにしあわせにしてもらえたらいいのに。わたしのことをすきなまんまで。『夢やうつつ』

    この詩を読んで自分の中にどんな言葉が生まれますか?私のなかに生まれた言葉はきっと誰にも理解されない。絶対に発することは出来ないけれど、確かに生まれた言葉がありました。


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    おわりに


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    今月紹介した作家さんは大人気作家さんなので、名前や作品を目にしたことがある方も多いと思います。作品の感想や作者に対するイメージはあくまでも私の個人的見解なので、ご容赦くださいね。私が1日のなかで1番心落ち着く時間、それが夜の読書時間。この時間に出会える作家さんたちのこと、とてもリスペクトしています。



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